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【自然農法とは?】自然農法のメリット・デメリットと有機農法の定義の違い
自然農法って何?
自然農法の大きな特徴は2つあります。
1つが「農薬・化学肥料や動物性堆肥(人糞・動物糞)などを使用しないこと。」
2つ目が「耕さない・除草しないこと。」
早い話が「人があまり手を加えない」ことが自然農の大きなポイントです。。
自然農法と有機農法の定義の違いとは?
ですが「農薬・化学肥料を施さない」という点では「有機農法」も一緒です。
では、自然農法と有機農法との大きな違いは何があるでしょうか?。
有機農法は土を耕し、肥料を施し、野菜に栄養を集中させるため除草も行います。
しかし、自然農法は有機農法で行われる「耕し・施肥・除草」という行為を一切行わず、完全に「自然の状態に任せた農法」なのです。
この2点が有機農法と自然農法との大きな違いです。
自然農法のメリットとデメリット
自然農法最大のメリットは「健康的で甘味が強く味の濃い野菜に育つこと」にあります。

しかし農薬を使用しないことによる「虫食い」や「形のイビツさ」そして化学肥料を施さないゆえに「通常の作物より小さい」というデメリットがあります。
「虫食いだらけ」だったり「形もイビツで黒ずんでいたり」するものって、単純に食欲がわきませんよね?。
やっぱり口に入れるものなのですから、形がキレイなもののほうが食べやすいと思うでしょうが、以外なことに野菜や果実は「形がイビツなほうが味が濃くて美味しいのです。」
自然農法は、化学肥料や動物性堆肥のように強い肥料分を使用しないため作物にえぐみが出にくく、栄養分の多い皮も一緒に食べられます。作物本来の味が楽しめます。
また農薬を使用しないので、健康被害の心配も皆無です。
自然農法での野菜栽培成功のコツ!人間が手を加えなくても野菜が育つ仕組みとは?

たくさんの微生物を呼び込むことが自然農法の成功のカギ
自然農法の成功のカギは「土壌に多くの微生物を呼びこむこと」が重要なポイントです。
自然農法では土を耕すことをしませんので、代わりにミミズなどの「微生物」をたくさん土壌に呼び込んで代わりに土を耕してもらうのです。

自然農法が進めば進むほど、畑の微生物の量は増えていき、これらが耕す土の量は、人間が耕す量をはるかに超えています。
実は耕運機や器具などで土を耕すと「単粒化」という現象が起こります。
これは土が細かくなり過ぎることで、地中の通気性や水はけが悪くなり、単粒化して粒になった土が固まって硬い地層になってしまうデメリットがあります。
しかし、耕すことを辞め、微生物が集まり始めると、微生物の糞やそれらが分泌する体液などで土が肥沃化し、柔らかくフカフカした土になるのです。

自然農法の一番のお手本は「山の環境」
一番のお手本になるのが「山の環境」です。

山の土壌はまさに微生物の楽園です。
山の環境というのは「落ち葉や枯草」などが何十年・何百年も降り注いで、地面そのものが腐葉土になっています。
すると、落ち葉や枯草を分解するために「微生物」がその土壌にワラワラと集まってくるのです。
微生物がたくさん集まってくると、土壌の栄養バランスが保たれ、土壌環境がより良くなり、最終的に植物に自生の力が身に付きます。
なので、山に育つ山菜や木の実などは、人間が手入れしたり施肥せずとも、キチンと育つのです。
自然農法の基本は「虫や雑草との共存共栄」
自然農法は人間が手を加えることはなるべく避け、自然との共存・共生を目指しており、土を耕やさず、草取りも行いません。
人が手を加えないのに虫食いや病気にならないのか気になるところだと思いますが、実は野菜や果実は人間が手を加えるよりも「虫や雑草と共存共栄」させたほうが、病気にもなり辛く、美味しい作物に実るのです。

農薬や化学肥料を使わない自然農の畑では多種多様な虫や生き物が集まってきます。
当然、野菜を食い荒らす虫も寄ってきますが、同時にそれらの天敵であるカマキリ・クモ・カエルなどが捕食目的で集まり、それによって、食う・食われるのバランスが取れて、結果的に野菜への被害が少なくなるのです。
山に生育する山菜や木の実などが、虫被害や病気にならずに育つのは、こういう仕組みが成り立っているからなんですね。
自然農法に適したおススメの野菜に適している野菜
自然農法に挑戦する際、ボクがおススメする野菜は以下の通り。
・根菜類: ジャガイモ、大根、ゴボウ、ニンジン。
・葉物野菜: キャベツ、白菜、チンゲン菜、アスパラガス。
・ウリ科 :キュウリ、カボチャ。
・実物野菜:トマト、ナス、キュウリ、カボチャ
下の画像は自然農法で育てたアスパラガスですが、草むしりも一切行わず、ほぼ放置状態で育てましたが、それでもキチンと生育してくれています。

性質が雑草に近いせいか、以外と育てやすいので初心者にはおススメかと思います。
家庭菜園で自然農法の畑を作ろう!土の整え方や畝の作り方を徹底解説

自然農法を実施する際の土作りのやり方
自然農法では、元肥は全く使いません。
使用するのは枯葉などの腐葉土や稲わら堆肥となり、これで野菜の生育に必要な窒素分は十分に供給されています。
また、それまで農作を行っていなかった未開拓の土壌はリン酸とカリが不足していますので「米ぬか」と「もみ殻くん・草木灰」を多めに撒くことをおススメします。
基本的に自然農法では土を耕さないことになっていますが、ボクの場合は畑作りの際に一度だけ深めに穴を掘って、そこに大量の落ち葉や枯草、もしくは稲わらを埋めておいてます。
深さの目安として「深さ40~50cm。」
そこまで掘れたら、穴を落ち葉や枯草で埋めるつもりでたくさん入れておきます。
こうすることによって、埋めた落ち葉や枯草が時間を掛けて微生物が分解し、山の地面と同じ、厚い腐葉土の層が出来上がっていきます。

自然農法での畝作り
落ち葉や枯草を埋めたら次は「畝」を作っていきます。
他の農法と自然農法での畝の違いは、他の畝は一作ごとに土を耕し、畝を再構築していく工程を踏みますが、自然農法の場合は、一作ごとに土を耕して畝を再構築することはせず、一度作ればそのまま使い続けます。
毎回毎回土を耕し続けると、土が細かくなり過ぎて単粒化してしまい、潰れて地層として固まってしまうので、通気性が悪く、植物の根が生えにくくなってしまいます。
ボクは以前に一作ごとに耕運機で耕していましたが、堆肥をたっぷり入れてフカフカの土にしても、次の年になると、耕運機の刃が止まるぐらい土はガチガチに固くなっていました。
ですので毎回畝を作ることはせず、畝を作る際は、長いスパンでデザインを考えることをおススメします。
例として、水溜りの状態が長く続くような粘土質の土壌では高めの畝を、そして水溜まりが出来てもその日のうちに乾いてしまうような砂質の土壌では低めの畝を作ることをおススメします。
自然農法で草取りを行わない理由とは?微生物や虫と共存共栄するための仕組み作り

草取りをすると土が弱くなる
自然農法では微生物の存在が不可欠です。
しかし、草をむしってしまうと微生物がその土壌から離れ「土が弱くなってしまいます。」
植物の根には、たくさんの微生物が寄生し、光合成で得た糖分や、水分、ミネラルの橋渡しを行います。
すると、その土壌では微生物のコミュニティが形成され、土を柔らかく、通気性及び水はけの良い土壌に変えてくれるのです。
ですが、草を全てむしってしまうと、微生物は水分もミネラルも受け取れなくなりますので、微生物たちはその土壌から離れていき、結果として土が固くなって「荒地」になってしまいます。
野菜と虫との共存共栄を取り持ってくれるのが「雑草」なのです。
草取りを行わないことで「虫対策」にもなる
草取りを行わない理由のもう一つは「虫食い対策のため」です。
農薬を使わない以上、虫は必ず湧いてきます。
そのとき、草むしりを完璧に行って、植物と呼べるものが野菜の葉しかなかったらどうなるでしょうか?。
当然、唯一の植物である野菜の葉に虫は集中的に群がってしまいます。
しかし、草むしりを行わずにいると、植物はそこら中にあるので、雑草に分散していき、また害虫を食べる虫も呼び込みますので、結果的に野菜を守ることになるのです。
雑草は、ほおっておくと虫が湧きますし、野菜の栄養を奪う「悪者」というイメージが強いですが、雑草の根は微生物を呼び込み、茎や葉は野菜を食べる害虫を分散させ、さらに害虫を食べる虫に住処を提供してくれているのです。
自然農法でおススメの草取りの仕方
自然農法では草むしりを行いませんが、かと言って雑草をそのまますべて生やしたままだと、作物への栄養が全て雑草に取られてしまいます。
なので、作物と程よい共存を実現するには、雑草の量と生え方を調節する必要があります。
おススメは、作物の根付近にある雑草は抜いてそれ以外の部分は残しておく方法です。

こうすることで、畑に寄ってくる虫の居場所を作物から遠ざけつつ雑草を食べてもらうことで作物への食害も減らすことが出来ます。
大切なのは作物のすぐ近くにある雑草だけは抜いておいて、それ以外は抜かずに残しておくということです。
自然農法ではどうして肥料を施さないの?多肥にしなくても野菜が育つ仕組みとは?

自然農法では多肥はNG!
自然農法の大きな定義の一つに「肥料を施さない」があります。
実は畑は多くの肥料を施すと、野菜の体内にはたくさんの「アミノ酸」が蓄積されます。
基本的に虫はアミノ酸が大好きなので、多肥にしてしまうとアミノ酸が多く分泌されてしまい、虫が群がってしまいます。
カンタンに説明してしまうと多肥にして育てた野菜は無視にとって「お色気ムンムン」なんですね。
なので、基本的に肥料は施しません。
肥料を施さずに微生物の力で野菜を育てる
毎回土を耕して肥料をすき込んでいくと、どうしても土が細かくなり過ぎて土が閉まり、通気性が滞って育ちが悪くなります。
そうなると、毎回濃度の強い肥料を施さないとキチンと育たなくなり、どうしても栄養過多になり、病害虫が付きやすくなります。
こうなってしまうと、農薬の力を借りないと対処しきれなくなってしまいます。
しかし、肥料を施さずとも、微生物がその土壌にたくさん住み着けば、彼らの営みで土は肥沃し、バランスよく野菜が育っていくのです。
多肥を辞めると連作障害が気にならなくなる
耕さず、毎回肥料を施す多肥にすることを辞めると「連作障害」が気にならなくなります。
連作障害の原因の一つが「栄養の偏り」にあるのですが、その作物に合わせて特定の肥料を施していくと、どうしても土壌の養分に偏りが生じ、結果として連作障害が出やすくなってしまうのです。
しかし、山に育つ野野菜や果実などは、何十年、何百年も同じ場所、同じ土壌で育つのに連作障害になることはありません。

【自然農法の始める際の注意点】近隣トラブルを避けるための上手な自然農ライフの送り方

自然農法を始めるために必要な備えとは?
「これから自然農法で野菜を作りたい!」と思ったら何から始めるべきでしょうか?。
自然農を行う上でまず真っ先に行うべきは「場所探し」です。
実は自然農はどこでも始められるものではありません、場所探しを誤ると「近隣トラブルの元」になりかねません。
自然農法では農薬は無論、草むしりを一切行いません。
すると必然的にそこの畑では虫が湧くことになり、別の畑などが隣接していると、虫が他の人の畑にも飛散してしまい、野菜を食い荒らす被害をもたらしてしまいます。

特に田舎では他所の畑と隣接してる場合が多いですので、特に注意が必要です。
仮に畑がなくても、他人の居住区にまで自分の畑の虫が行ってしまうこともあるので、近隣トラブルの元になりかねません。
ですので、他の農家との畑が隣接している場所や、密集地を避け、孤立している土地が望ましいです。
場所探しが難しい場合は「虫対策」を万全に!
もし、場所探しが難しい場合は「虫対策」をガッチリ行うようにしましょう。
これは「防虫ネット」の使用がおススメです。

畑を作っていないエリアはしっかりと草むしりを行い、畑のエリアを雑草ごと囲むように防虫ネットで外に虫が飛び出さないように対策します。
防虫ネットはホームセンターで販売されていますし、骨組みである「竹ひご」は100円ショップで安く購入出来ますので、これで充分です。
まとめ
自然農は作物の出来もイビツで「見た目が悪い」「効率的でない」というデメリットから「見た目」と「効率性」を重視する現代日本では、どちらかと言えば敬遠されがちの農法です。
しかし、今こうして自然農で栽培された野菜が注目され始めているのはただ単に美味しいからという理由だけでなく「知らず知らずのうちに人体がナチュラルな食べ物を欲しているから」だとボクは思っています。
見た目が良く、効率的というのはあくまで人間の都合です。
全てというわけではありませんが、見た目と効率だけを重視して出来たものと言うのは「本来あるべき姿を都合で捻じ曲げたもの」なのかもしれません。
つまり必ずしも「見た目が良く、効率的」=「美味しくて健康なもの」とは限らないってことですね。
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